24年6月最新版】
非ロシア原産ダイヤモンドの輸入に際してQ&A

第三国で加工されたロシア原産のダイヤモンド輸入制限に際して
ダイヤモンド輸入業者が取り組むべき内容Q&A

2023年5月に行われた「広島サミット」において、ロシア原産のダイヤモンドの輸入制限が、G7首脳声明に盛り込まれました。その後2024年12月6日のG7首脳声明を踏まえ、G7およびEU各国は第三国で加工されたロシア原産のダイヤモンドの輸入も段階的な制限を進めることになりました。

それに伴い日本国では、2024年1月1日よりロシア産のダイヤモンド原石を輸入を制限。2024年5月1日より1キャラット以上の研磨済みダイヤモンドの輸入に際してもロシア原産でない事(以下「非ロシア原産」)を何らかの方法で記載する事が義務付けられ、2024年9月1日の正式な法改正を目指す事になっています。

一般社団法人 東京ダイヤモンドエクスチェンジ-TDEでは、ダイヤモンド業界団体として、各社が知り得た情報を以下の通りQ&A方式でとりまとめ公開する事にしました。なお、経済産業省のホームページも合わせてご参照ください。

【経済産業省】
ダイヤモンド(原石・研磨済み)の輸入に際して事業者が取り組むべき内容に関する指針について
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/hoseki_kikinzoku/yunyu.html

基本的な内容

ロシアで産出されたダイヤモンド原石、その原石を研磨したダイヤモンド、および、ロシアで研磨されたダイヤモンドの事を指します。

ロシアの主要な産業の一つがダイヤモンドの採掘と研磨です。G7およびEU各国では、ロシアによるウクライナ侵攻を国際秩序の根幹を揺るがすものとして強く非難し、色々な経済制裁をロシアに対して実施しています。その新たな経済制裁措置として第三国で加工されたロシア原産のダイヤモンドも段階的に制限を進めることになりました。

現在の科学では極めて難しいと考えられています。ダイヤモンドは99.9%純粋な炭素結晶で原産地を特定できる要素が極めて少ない物質です。ダイヤモンドは1億年以上前に地球の地下深くで生成され、その後大陸移動や火山活動を経て地表付近で採れるようになりました。そのため「どこで生成されたのか?」という事を特定する事はできませんので「どこで産出されたのか?」という事がダイヤモンドの産地になります。世界中の鑑定機関がダイヤモンドの産地特定の研究を行っていますが、今のところ特定は極めて難しいと考えられています。

ダイヤモンド原石の採掘から、輸出輸入、研磨、販売まで厳しく管理してトレサビリティーを担保することでダイヤモンドの原産地を表記する仕組みです。世界中で産出される膨大な量のダイヤモンド全てを管理する事は極めて難しく、ごく一部のブランドや鑑定機関では限定的に原産地表記を行っています。

以下の経済産業省のホームページをご覧ください。

https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/03_import/21_russia/russia_diamond.html

要約しますと

  1. ロシアを船積地域とするダイヤモンド(二号承認)2024年1月1日より
  2. ロシアを原産地とする1ct以上のダイヤモンド(二号承認)2024年5月10日より
  3. ロシアを原産地とする1ct未満のダイヤモンド(事前承認)2024年5月10日より

ロシア原産のダイヤモンドの輸入は規制されています。

※二号承認とは経済産業大臣の承認が必要となる原則 輸入禁止措置の対象
※事前承認とは事前申請と事前承認が必要です。を船積地域とする非工業用ダイヤモンド二号承認

第三国とは、ロシアと輸入国である日本以外の国という意味です。

ロシア原産を含まない事が前提で「非ロシア原産」を明記する書類が揃っていて、経済産業省が定める「ダイヤモンド輸入に際して取り組むべき内容」を遵守し宣誓書を提出していれば、ロシア原産以外のダイヤモンドは問題なく輸入できます。

日本国内のダイヤモンド取引は対象外です。

今回の輸入規制は2024年1月1日から段階的に行われています。2024年1月1日より前に在庫になっていたダイヤモンドは対象外です。(この古い在庫は通称グランドファーザード・ダイヤモンドと言われています)古い在庫=グランドファーザーである事を証明できる在庫データや取引履歴があれば、問題なく「非ロシア原産」として輸出輸入する事ができます。

ジュエリーはダイヤモンド製品も含め対象外です。今回の規制は第三国から輸入される1ct以上のダイヤモンド原石と研磨済みダイヤモンドのみとなっています。

世界的なインフレや日本国内においては円安は無視できませんが、ダイヤモンドは現物取引のみで現在は需要と供給のバランスが崩れていません。今のところダイヤモンド原石や研磨済みダイヤモンドの価格が上昇する兆候は見られません。

今回のロシア原産ダイヤモンドの輸入規制はG7及びEU各国だけです。

イギリス、アメリカは、日本と似たような規制を行っており、大きな混乱は無いと聞いています。

EU各国、特に世界的に大きなダイヤモンド取引所があるベルギーは、ロシアと地続きのためロシア原産ダイヤモンドの流入を厳しく規制する必要があるという地政学的特徴があります。そのため、ベルギーでは第三国からのダイヤモンドの輸入規制開始当初、通関で混乱があったと聞いていますが、今はかなり解消されていると聞きます。

基本的なスタンスとして、TDE(一般社団法人 東京ダイヤモンドエクスチェンジ)は、今回のロシア原産のダイヤモンド輸入規制に賛成の立場で、ダイヤモンドは平和の象徴であるべきだと考えています。

一方で輸入業務が煩雑になりすぎるとサプライチェーンが混乱する可能性があります。そこでTDE(一般社団法人 東京ダイヤモンドエクスチェンジ)とJJA(一般社団法人 日本ジュエリー協会)は連名で、経済産業省に嘆願書を送っています。同様にTDEも加盟しているWFDB(世界ダイヤモンド取引所連盟)も嘆願書をG7およびEU各国の窓口に送っています。

又、今回の規制の内容に関しても、何度も繰り返しTDEとJJAは経済産業省と意見交換を行い日本のダイヤモンド業界の現状を伝えてきました。

現在、経済産業省がホームページで発表している内容は、ロシア原産の規制を行いながらも通常のダイヤモンドの輸入手続きが煩雑にならないように配慮されているものだと考えています。

TDEは「ダイヤモンドが平和の象徴である世界の実現を目指して」今後も協力してロシア原産の規制を遵守していきたいと考えています。

輸入事業者に必要な内容

経済産業省では「ダイヤモンド(原石・研磨済み)の輸入に際して事業者が取り組むべき内容に関する指針について(Q&A)」を公開しています。合わせてご参照の上、以下をご覧ください。

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/hoseki_kikinzoku/qa_shishin_v2.pdf

 

大まかなガイドラインは以下の通りです。

①企業管理体制の構築
ダイヤモンド取引の管理責任者の任命や社内体制の構築、信頼できる輸入元(海外取引先)の選定、それらを監督する担当者の任命など、管理体制を構築してください

②経済産業省へ自己宣誓書の提出
経済産業省に事故宣誓書をメールで提出してから、輸入という運びになります。

③証明資料の取得・保管
輸入時に、取引先のキンバリープロセス証明書(原石のみ)、G7証明書(現在検討中)、第三機関による産地証明書、「非ロシア原産」を明記したインボイス、いずれかが必要で、適切に保管する必要があります。

④輸入元(取引先)との確認
証明資料が適切であるかどうか、取引先とコミュニケーションを密にして確認してください。

⑤求めがある場合、経済産業省に書類の提出
経済産業省からの求めに応じて書類を提出する必要があります。

ダイヤモンド輸入企業向けQ&A

TDEでは今回の規制に関して情報交換会を行い、その中でお互いに確認した情報をQ&A方式でまとめました。ぜひご参照ください。

少しでもダイヤモンドを輸入する可能性がある場合は宣誓書を提出する事を強く推奨します。9月には法改正が行われる予定です。法改正後は窓口が混雑する場合もあると見られます。早めに宣誓書を提出して番号を取得する事を推奨します。

輸入する前に、経済産業省に自己宣誓書を提出している必要があります。その上で最低限、取引先(輸入元)による「非ロシア原産」を宣誓したインボイスが通関時に必要です。

2024年5月1日以降に輸入される1ピース当たり1ct以上の全てのダイヤモンド(原石・研磨済み)は輸入時に何らかの「非ロシア原産」を証明する必要があります。9月の法改正の時は0.5ct以上まで範囲が広がる可能性があります。

今回の規制では、1ピース当たり1ct以上の全てのダイヤモンドが対象です。ソーティングやドシエ、鑑定書が付いていないダイヤモンドも対象になります。

1ct以上のダイヤモンドは、ロットごとに総数量と、総キャラット数、および「非ロシア原産」の宣誓を明記する必要があります。

1個づつ明記する必要があるという情報もありましたが、正しくは上記の通りで、経済産業省のQ&Aでも同様の内容が記載されています。合わせて参照ください。

例えば「非ロシア原産」の虚偽宣誓が発覚した場合などにより、経済産業省が調査する必要がある場合は、輸入時のインボイスや取引履歴等の書類を経済産業省が提出を求める場合があると思いますが、TDEの意見交換会では「事件以外で任意に書類の提出を求められることはあまりないのではないか」という意見がありました。ただし、輸入時の書類の保管に関しては、これまで通り日本国内法に則り正しく保管する必要があると思います。

日本はダイヤモンド生産国ではありませんが、G7及びEU各国にダイヤモンドを輸出する場合「非ロシア原産」の宣誓が必要です。以下の2つのパターンが考えられます。

①2024年1月1日より前に在庫にしていたダイヤモンド(古い在庫=グランドファーザー)は今回の規制対象外です。過去の輸入履歴やコンピュータの在庫データを以て「非ロシア原産」と宣誓できます。

②2024年1月1日以降に輸入されてたダイヤモンドには、輸入時のインボイスに「非ロシア原産」宣誓か各種書類が保管されていると思います。その書類を以て「非ロシア原産」を宣誓する事ができます。

なお、アジア各国への輸出など、G7及びEU各国以外の国に対しては「非ロシア原産」の宣誓は必要ありません。

再輸入時に「非ロシア原産」が宣誓されたインボイスが必要になりますので、最初に輸出する時のインボイスに「非ロシア原産」を宣誓すれば、再輸入の「非ロシア原産」宣誓もスムーズになると思います。

上の「日本からダイヤモンドを輸出する場合」Q&Aも合わせてご覧ください。

  1. キンバリープロセス証明書(原石のみ)
  2. G7証明書(現在整備中)
  3. 第三機関による原産地証明書
  4. 輸入元の取引先による「非ロシア原産」を宣誓したインボイス

いずれかが必要で、輸入後は正しく保管してください。

現在のダイヤモンドの取引や輸入手続きにおいて「非ロシア原産」を完璧に証明する事が難しいため今回の措置となっていますが、ダイヤモンド輸入業者は今回の規制に協力し、輸出元(海外取引先)の「非ロシア原産」宣誓が正しく行われているかどうかを確認しつつ輸入する事になっています。

経済産業省に提出する「宣誓書」では、信頼に耐えうる海外取引先と正しく取引を行う旨を宣誓する事になっています。

貴社のコンプライアンスに則り、信頼できる海外取引先との取引を強く推奨します。

2024年5月1日から実施されています。ただし現在は準備期間ですので(サンライズ期間と言われています)法的な執行力はありません。日本では法改正は2024年9月1日を目指しています。海外のニュースによると実施は2025年3月になる可能性があるとも聞いています。

日本の場合、経済産業省の発表に準じる事になります。

最後に

TDEは、ダイヤモンドが採掘されてから販売に至るまでの間、多様な人種や民族によって、嘘偽りなく正常に取引されている現在の姿こそ、平和の象徴だと考えています。今回のロシア原産のダイヤモンド輸入規制に関しても、全面的に協力しつつ、サプライチェーンに混乱が起きないように、可能な限り尽力していきたいと考えています。

ダイヤモンドが平和の象徴である世界の実現にTDEは貢献していきます。

 

TDE WEBマガジンでは、ダイヤモンド流通の正しい情報を発信しています。また、ダイヤモンド業界やジュエリー業界の情報も公開しています。

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